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透明水彩ステイン

花粉の季節ですね

先日患者さんから、花粉症の治療っていろいろありますけどどうなんですか?とご質問がありました。 注射とか、お薬もいろいろですよねー、とのことでした。

たくさんの種類のお薬があるように思いますが、実は、そんなに治療法は多くはないのです。


西洋医学的には、まず、抗アレルギー剤である、抗ヒスタミン剤。これはよく眠くなる副作用が有名ですが、確かにいろいろな種類がありますが、作用は、かゆみや鼻汁の原因となるヒスタミン遊離を抑えるという直接的作用があります。

次には抗アレルギー剤である、抗ロイコトリエン剤。直接かゆみや鼻汁はとめませんが、鼻閉をとめることが得意で、のどがイガイガしたり、咳が出たり、気管支にまで症状がおよぶ人には効果的です。 この二つはよく知られています。

新しい、根治療法(もとから治す)として、昨年発売されたスギ花粉を経口舌下し、体に耐性をつけていく方法は、私自身が現在試していますが、効果を感じています。毎年、2月になるのが憂鬱でしかたなかったのですが、まだ、楽にすごせています。

この根治療法は、花粉症のオンシーズンには使えません。花粉が飛散しなくなった6月から、また開始が可能となります。また耐性をつけていく方法には注射もありますので、毎日経口舌下で飲むのは難しい方には2週間に一回程度来院していただき、治療を行っています。


また、自費診療として、ワンシーズンで一回ステロイド注射をすれば花粉症を防ぐことができます、と謳ってステロイドを注射する治療法もありますが、できたらこれは避けたいものです。 ステロイドを全身投与することは、全身の免疫状態を大きく変えることでもあります。 確かにどんなに薬を飲んでも効かない、鼻が詰まって眠れない、生活を脅かされている、というときには考慮する方もいるでしょう。でも、毎年毎年、それだけ強い注射をし続けることによる、体への負担や作用を考えると、やはり、よくその副作用の怖さを知って、治療の是非を考えていただきたいと思います。 炎症を止めればいいからステロイドを使えばいい、ということは、簡単で安易に見えて、非常に思慮が浅いように思います。私自身の経験から言うと、ステロイドとは、命を救う薬です。 呼吸が苦しくて酸素が保てないような重症の喘息発作の場合、皮膚の炎症が強すぎてやけどのようになり、目を閉じることさえできないようなとき、ステロイドの効果で命が救われるとき、本当に過去の医学がステロイドを発明してくれたことに畏敬の念を感じます。

しかし、だからこそ、時と場合を慎重に選んで使わなければならないと思うのです。

ステロイドの注射の前に選択肢はたくさんあります。その中に漢方薬の内服があるように思います。 私の兄弟子であるいまなか耳鼻咽喉科の今中先生のよく効く処方の中に、小青竜湯と五虎湯を合わせた処方がありますが、この処方はステロイドを注射する前にぜひ考慮していただきたい処方です。5分ほどですっと楽になって眠れました、など、本当によく効く処方です。 これにより抗ヒスタミン剤が不要となることを多く経験しています。 また、もとから冷え性の方やむくみのある方など、体質によって、処方内容は変わってきます。

そのような意味で、花粉症ひとつにしても体質から考えた処方ができるという良さが、漢方にはあると思います。

今や国民病になってしまった花粉症ですが、一人一人症状は異なるのでそれぞれの人に合う方法が見つかればいいと思いながら診療にあたっています。




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