5月7日、緊急事態宣言は延長され特別警戒地域であるここ京都では静かで穏やかなときが流れています。嵐山にこんなに人がいないのは初めて見ました。
 水が綺麗で、空が澄んで見えるのも、コロナウイルスによる数少ない恩恵のひとつであるといえるでしょう。

 最近のニュースでは、欧米でコロナウイルスの感染が少なくとも12月には起こっていたと証明され、すでに年末には全世界に静かに広まっていたとの知見が出てきました。

 また、関西・関東ともに大学やクリニックで抗体検査が行われ、1〜6%程度すでにかかっている人が存在することが判明しています。日本全体の人口に比して考えると120万人から720万人となります。厳格なロックダウンを行う国、もしくはスウェーデンのように免疫の獲得を狙って厳格なロックダウンをせず、経済損失を最小限に行う国、それぞれ抗体率は15%〜25%程度と推定されています。どの方策がもっとも正しかったのかについては、近い未来に明らかになることでしょう。

 抗体を獲得すれば一定の免疫を得られるのかどうかについてもWHOは明確な答えを出していません。

 一小児科医として愚考するならば、RSウィルスやアデノウイルス、手足口病・・・どれをとっても一人の子供が何度もかかることを経験しており、そのような意味においては、コロナウイルスも一度の罹患では生涯免疫を獲得する可能性は低いと考えますが、抗体を持つことで徐々に軽症化していくということはありえると考えます。

 この未知のウィルスに対しての恐怖心と不安から出てくる様々なニュースにまぎれて存在する、しっかりと症状を捉えた世界各国やまた日本における症状や症例報告を読むと、少しずつこのウイルスのことが分かってきたように思います。

 今後、アフターコロナの時代を生き抜くため、実現しそうな治療戦略も含めてまとめました。

*コロナウイルスにより重症化にいたるパターン

 ①肺炎の悪化

 ②ウイルス血症(ウィルスそのものに体全体が負ける)
 もしくはウィルス血症より体が過剰に免疫に反応し、自分の体を攻撃してしまう状態

 ③ウイルスに体が過剰免疫反応をおこし凝固能(体の血を固める能力)亢進がおこり心筋梗塞や脳梗塞、肺血栓をきたす

*重症化させずに命を守るために、西洋医学的に何ができるか

 ①肺炎の悪化をさせないために、ステロイドの吸入の積極的導入

 ②ウィルス感染を早期診断・治療するための医療体制の構築

  重症化を抑制するためのレムデシビルが保険適応となりました。しかし、外来レベルではアビガンとストロメクトールが有用だと考えます。

 アビガンはおそらく、胎児奇形性の問題を孕むため小児や妊娠中・授乳期の女性には適応とならないでしょう。

 アビガンを使用する際には、妊娠検査を必ず行う必要性があると思われます。

 また、早期投与でないと意味がないと思われるため今後、診断を早期にするシステムの構築が重要と考えられます。

 また、ストロメクトールに関しては、3歳以上に使える、また現在まで5億人以上の人間に実際に治療されてきた駆虫薬であるという点からも初期投与薬としての役割を十分に果たせる薬であると考えています。

 アビガンがタミフルのように、いつかは効かなくなっていく耐性という問題をはらむ薬であるのに比較し、ストロメクトールは知り合いの薬剤師いわく効き方が美しい薬…人の免疫状態を賦活化させて抗ウイルス作用を発揮するという点において、初期投与、または多くの人に、という二つの面をかなえる薬剤であると思われ、冬、インフルエンザとコロナが同時にやってくるという恐怖に打ち勝つためにも、早めの薬事承認を切に願います。

 ③脳梗塞や心筋梗塞を伴うような凝固能の亢進に関して

 しもやけでもないのに赤く固まった丘疹ができるコロナ特有の発疹についての報告が散見されるようになりました。血の塊がそのまま心臓や脳にいけば梗塞の危険を伴います。

 今後外来では、凝固能を亢進させる可能性のある薬剤には十分に注意するよう徹底し、またリスク因子の高い患者さんを注意深く診ていく必要性があります。

*東洋医学的な戦略

 ①いままでと同様、証にあった薬を見極めるということを基本として、免疫賦活化作用、抗ウイルス作用をもつ予防的な漢方の積極的利用

 ②凝固能の亢進は漢方では瘀血という血がどろどろの状態からの状態の悪化もひとつの要因と考えられるため、瘀血が見られる患者さんに対する駆於血剤の選択

*特にこどもたちへの注意すべき点   

 コロナウイルスにより重症化する率は大人よりはるかに低いとされていますが、欧米の症例報告により、川崎病と同じ病態を引き起こすことが判明しています。

 従来までの川崎病との差異をしっかり見極めながら、見逃しのないように見ていく必要性があります。

 肺炎症状の報告についてはあまり重症例のこどもの報告はありません。

 いままでのウイルス性肺炎の基本に忠実に、従来どおり、肺炎を悪化させないため、吸入療法を基本に軽症ですむように早めに治療を始めることが大事だと考えます。

 このまま収束に向かうことは世界中の人たちが望むことですが、今後冬期にむけて、少しでも不安と恐怖心を克服して現実的に前に進むことができることが大事だと思います。