ワクチンの接種が欧米を中心に開始されてほぼ4ヶ月あまりが経過しようとしています。

日本にもようやくワクチンが届きはじめ接種が開始されました。しかし、高齢者に接種する医師がワクチン未接種であったりと矛盾も多いスタートとなっています。きの小児科医院にもまだワクチンは届いておらず、私自身は来週接種予定です。

ワクチンの開発が始められた当初から、様々なニュースが飛び交う中、科学的、また現実に沿った一番よい選択はなんなのか、ずっと考えてきました。

現在、世界中で流通が始まり認可されたワクチンは2種類あります。

ウィルスベクターワクチン(J&J・アストラゼネカ)とmRNAワクチン(ファイザー・モデルナ)です。

ウィルスベクターワクチンはサルの感染するアデノウイルス(人間には無害)なウィルスの中に、コロナウイルスの情報を組み込んで作ったワクチンです。弱毒化したウィルスの中の情報を読み取ることで抗体を作っていく仕組みです。よくよく勉強すると、このワクチンのデザインは、新型コロナウィルスのワクチンとしてはミスマッチに思えてきます。なぜなら、ウィルスベクターワクチンは、一度打つと、この弱毒化したウィルス自体に体が抗体を作ってしまうため、来年も、再来年もという風に持続して打っていくことができないワクチンだからです。

例えばエボラ出血熱やSARS・MARSレベルの致死率の高い、まん延率の低いウィルスであれば、一度免疫を付けて終わりというワクチンの作り方が適するといえるかもしれませんが、ここまで長く、拡大傾向の続くコロナウイルスには、連続性という意味で不適切であると思われます。ウィルスの特性とまん延率、効果を天秤にかけたときに、ずっと使われていくという意味で、普遍性に欠けます。不思議なのは、一度打ったらワクチン自体に抗体が作られ、次に打つことができないという事実が、あまり報道されないことです。また、血栓症の報告が相次ぎ、使用をとりやめた国も続出しているため、現在の時点で日本が認可するかどうかも不透明な状況です。

対して、mRNAワクチンは、コロナウイルスの表面に存在するスパイクたんぱく質の情報を殻で保護してできたワクチンです。人間の細胞の中に一旦取り込まれて、スパイクたんぱく質が作られ、これに対する抗体がすみやかに作られることによってできる液性免疫とキラーT細胞に指示を出して免疫細胞が直接ウィルスを攻撃できるようになる細胞性免疫の2種類を誘導します。人のDNAを傷つけてワクチンを打ったらDNAが変わってしまうといったデマがありますが、mRNAはすぐに分解されてしまうため、そのようなことは起こりません。

 しかしこのワクチンの欠点は不安定なことです。解凍後に活性がある時間は限られており、また保存にディープフリーザーが必要となります。

また副作用として、ウィルスベクターワクチンほど重篤なものは少ないですが、アナフィラキシーの報告があります。特に女性に多いようです。

この理由としては殻となっている部分の成分が、ポリエチレングリコールという、化粧品にも使われる成分であることも関連している可能性があります。 

最終的には従来の製法で作られた国産の不活化ワクチンが望まれますが、海外に比べ幸いにも感染者数の少ないわが国では治験が進まず認可が遅いという問題点の克服がされていません。

 以上の現実的状況からは、認可されたファイザーのワクチンを在庫の許す限り打っていくことが正しいように感じます。

 実際、中国製9割、ファイザー製1割を打ったチリでは、感染者数が減らず、ファイザー製のワクチンをほぼ打っているイスラエルでは感染者数が激減しているという事実があります。今後数年、安定した不活化ワクチンが出るまでは、このワクチンに頼らざるを得ないかもしれません。

 変異ウィルスに対する遺伝情報の変化に対応が簡単であるという点からもmRNAワクチンには利点があると考えられますが、2回打ったのち、どの程度抗体が持続するのか、3回目はいつ打つべきかという議論はこれからです。

 ワクチン大臣である河野さんは、テレビ番組で「余ったら誰にでも打ってよい」といっていましたが、京都市に確認したところ、現在の時点では「接種券、予診票のない人には打ってはいけません」との解答でした。実際のところ、国の意向がそのまま市区町村の自治体レベルには反映されているわけではないため、最初はだいぶ混乱も予想されます。なるべく多くの方にワクチンを打っていただくためにできる限りの努力は続けていきたいと思っています。情報が錯綜する中、不安や混乱がなるべく生じないよう、冷静な対処を続けていきます。 ワクチンが普及した未来が今よりも少しでも明るいものであるよう願います。また、以前と様変わりしてしまったポストコロナの時代が、必ずしも悪い方向へのシフトではないようにするためにも、私たちひとりひとりが生活に丁寧に向き合うことが求められているように感じています。一緒にがんばりましょう。